公開まであと3週間。「クライアントが承認したのは、どのバージョンでしたっけ?」と聞かれます。ブリーフは文書に、ムードボードは別の場所に、答えはチャットの過去のやり取りに埋もれています。修正に取りかかる前に、まずキャンペーンの経緯をつなぎ直さなければなりません。
このガイドでは、クリエイティブチームのデモをもとに、実際の仕事に取り入れられる進め方を紹介します。1つのプロジェクトに、ブリーフ、表現の方向性、制作物、レビュー用のキャンバスをまとめます。ここで扱うキャンペーンはデモであり、顧客の導入事例ではありません。以下の構成と例は、最初のブリーフから次回に残す資料まで、自分たちのキャンペーンを進めるための提案です。
要点
キャンペーン用のプロジェクトを1つ作り、制作物ごとにキャンバス、担当者、日付を設定します。ブリーフ、参考画像、レビューで確認したいことは、それぞれの制作物のそばに置きます。フィードバックはキャンバスのコメントにまとめ、クライアントにはレビュー用キャンバスをコメント権限で共有します。ダッシュボードで進捗と仕事の偏りを確認し、カレンダーで合意した日程に調整します。承認済みの制作物を納品・公開したら、カードを完了用セクションへ移し、役立つキャンバスを次のキャンペーンにコピーします。
先に全体の解説動画を見ることも、以下の各段階で短い動画を見ながら進めることもできます。デモで行っている作業の準備と、その場で必要になる判断を、このガイドで説明します。
制作を始める前に、キャンペーンの置き場所を決める
公開後も見分けられるプロジェクト名を付けます。たとえば、R/1キャンペーン - 9月です。説明にはキャンペーンの目標と公開日を記入し、中心となるメンバーを招待します。アートディレクター、デザイナー、マーケター、ライター、プロデューサーが、期間中いつでも戻れる場所を用意します。
チームが実際に使う段階に合わせて、セクションを作ります。最初はブリーフィング、制作中、レビュー中、納品・公開待ち、納品・公開済みという並びが使いやすいでしょう。これらは、このキャンペーンのために自分たちで付ける名前の例です。カードを動かし始める前に、各セクションへ移す条件を決めておきます。
この進め方では、納品・公開待ちは承認済みで納品を待っている状態、納品・公開済みは担当者が実際の納品や公開を終えた状態を指します。この区別があれば、公開前の最後の打ち合わせで「承認は済んでいるが、まだ誰かが送付や公開をする必要があるものはどれか」を確認できます。
プロジェクトのカードを開くと、キャンバスに入ります。その仕事に必要な資料を中に置き、たとえばメイン動画のレビューを開けば、編集版、参考資料、議論がそろっている状態にします。個別の担当者、日付、レビューが必要な仕事には、プロジェクト内にキャンバスを作成します。ブリーフ、ムードボード、動画レビュー、商品画像、媒体ごとのコピーを、1枚の巨大なキャンバスに詰め込まず、同じプロジェクトにまとめられます。
キャンペーンのカードを開くと、カンバンでの全体把握から、制作・レビュー中の資料へ移れます。
意見が分かれたときに立ち返れるブリーフを書く
参考資料を集める前に、キャンペーンで決まっていることをブリーフ用キャンバスに書きます。届けたい相手、期待する反応、伝えるべき価値、制作物を明記します。レビューで判断基準になる条件も必要です。必須の文言、ビジュアルで守る範囲、形式、方向性の承認者を記載します。
条件は具体的に書きます。「高級感がありながら親しみやすい」だけでは、人によって解釈が分かれます。「商品単体のカットより先に使用シーンを見せ、冒頭のコピーは日常の快適さに焦点を当てる」なら、ライターもアートディレクターも同じ案に当てはめて判断できます。
ブリーフの最後には、まだ答えの出ていない問いを並べます。決定事項と未決事項を分けておきます。2週目にクライアントが優先順位を変えたら、ブリーフを更新し、影響を受ける制作物のそばに変更内容を記します。役に立つブリーフは、キックオフで役目を終えず、制作中も使い続けるものです。
最初のレビューでは、着手前に明確にしておきたいことを、各担当者に1つ挙げてもらいます。プロデューサーには必須の撮影カット、ライターにはメッセージの優先順位、デザイナーにはブランドの基準となる参考画像と候補にすぎない画像の区別が必要です。最初の納品で5通りの解釈が発覚するよりも、ここで一緒に答えをそろえるほうが手戻りを抑えられます。
デモのキャンバスでは、ブリーフ、商品画像、参考資料、作業メモを一緒に見渡せます。この配置なら、レビュー中に制作案とブリーフを照らし合わせられます。
ムードボードで、何を選ぶかを明確にする
デモでは、ほかの担当者がそれぞれの作業を進める間に、デザイナーがムードボードを作ります。この場面を手本に、まずキャンバスに参考画像を集め、画像のグループごとに、提案する方向性のどの部分を示しているか説明します。
照明、構図、色、タイポグラフィ、商品の見せ方など、決めたいことを軸に参考画像を並べます。「参考にするのは照明。背景は採用しない」「広めの余白は残す。見出しの表現は未決定」といった短いメモを添えます。この一言がないと、意図していない要素まで参考にされてしまいます。
レビュー資料の中でも、ブリーフの目標を見えるようにしておきます。日常で使うイメージを伝えるキャンペーンなのに、ドラマチックなスタジオ写真ばかりを並べるなら、その理由が必要です。ムードボードのレビューでは、チームが実際に制作できる方向性を決め、未解決の問いを具体的に残します。
方向性が決まったら、採用案だと分かるように表示し、不採用の案とは分けておきます。なぜ選んだのかを説明できるだけの経緯も残します。後日「もっと暗いトーンの案に戻したい」と言われたとき、以前の判断理由があれば、同じ話し合いを繰り返さずに済みます。
参考画像をムードボードに並べる様子を確認してください。周囲の余白には、チームが選ぶ表現とその理由を書き込めます。
職種が違っても、同じ決定事項を基準に進める
デモでは、アートディレクターが制作物を確認し、デザイナーが参考画像をまとめ、マーケターがキャンペーンを計画し、ライターが画像のそばでコピーを書き、プロデューサーが撮影計画を整えています。それぞれの作業場所を同じプロジェクト内に用意し、行き来できるようにします。
| 役割 | 作業に使う資料 | 引き渡し前に答える問い |
|---|---|---|
| アートディレクター | 方向性と制作物のレビュー用キャンバス | 合意した方向性に沿った表現になっているか? |
| デザイナー | ムードボードとデザイン制作物 | 現在の採用案はどれで、何がまだレビュー待ちか? |
| マーケター | キャンペーン計画と媒体ごとの要件 | 各制作物をどこに掲載し、何を達成するのか? |
| ライター | 使用予定の画像と並べたコピー | 画像と掲載形式に合ったメッセージになっているか? |
| プロデューサー | 撮影計画と納品の詳細 | 次の段階に向けて、誰が何を準備する必要があるか? |
制作物ごとに担当者を決め、実際の予定に基づく日付を設定します。作業計画では、納品期限より前にレビュー期限を置きます。金曜日納品の動画には、承認者が判断するための時間も必要です。すべてのキャンバスを金曜日に設定すると、その作業が見えなくなります。
コピーの候補は一緒に使う画像のそばに置き、撮影の要件は対応する参考画像のそばにまとめます。レビュー対象の資料にはキャンバス上のファイルを使います。次のレビュアーがカードを開いたとき、何を判断すればよいか分かる状態にしておきます。
2週目のフィードバックを、見える決定事項に変える
「冒頭をもっと強くして」だけでは、修正に取りかかりにくいものです。対象箇所、気になる点、決めるべきことを具体的に伝えます。動画レビューなら、冒頭カットの静止画をキャンバスに置き、そのオブジェクトにコメントを付けます。「商品単体のカットより先にメリットが伝わるよう、使用シーンを冒頭に置いてみてください」のように書きます。
描画と注釈を使うと、細部を指し示せます。気になるトリミング箇所を丸で囲んだり、候補のカットに取り消し線を引いたりしてから、コメントで理由を説明します。印で場所を示し、スレッドで議論を続けます。
この動画では、描画による印で制作物の確認箇所を示しています。会議後も意味が伝わるよう、理由をコメントに残します。
対応が必要な人を@でメンションします。返信も同じスレッドにまとめれば、次のレビュアーが依頼、回答、決定を続けて読めます。動画へのフィードバックには、カットの説明に加えてタイムスタンプも書きます。再生中の動画ではなく静止画を見ながら話していても、修正箇所を特定できます。
ここでは、ビジュアルの細部を確認したあと、その制作物にコメントを付けています。修正依頼と返答を同じ場所に残します。
レビューの最後に、承認、特定の修正を条件に承認、再レビューが必要、のいずれかを制作物のそばに記録します。これはチームが文章で残す判断であり、自動の承認ワークフローではありません。未対応の修正には担当者と次回レビュー日を決めてから、次へ進みます。
クライアントをレビュー用キャンバスに招く
クライアントが判断するための資料をまとめたキャンバスを用意します。確認したいこと、現在の候補、回答期限を載せます。社内の予算に関する議論や無関係な案は、別のキャンバスに置きます。キャンバスを共有すると、その中身が共有相手に見えるため、リンクをコピーする前に、見せる範囲を決めておきます。
共有を開き、レビューに必要なゲストリンクでのアクセスを有効にして、コメント権限を選びます。そのリンクをコピーしてクライアントに渡します。コメント権限なら、レイアウトや制作物を変更せずに意見を伝えられます。実際のコンテンツを追加・変更する人には、編集権限が必要です。
共有の動画では、リンクをコピーする場所を示しています。レビュアーに送る前に、権限を確認してください。
ゲストとの共同作業を許可したリンクなら、クライアントはアカウントを作成せずにゲストとして参加できます。初めて参加するゲストは、表示名を入力してからキャンバスへ進みます。レビュー前に、パスコードが必要な場合はその入力も含めて、リンクとアクセスを確認し、意図した資料にたどり着ける状態にします。
ゲスト参加の動画では、リンクを受け取ってからレビュー資料に入るまでの手順を示しています。名前が保存されているゲストは、次回から名前の入力を繰り返さずに入れます。
リンクには短い依頼を添えます。「木曜日の正午までに、冒頭の2案へコメントをお願いします。今回は方向性を決めたいので、細かなレタッチは次回のレビューで確認します」。背景説明をもう1ページ増やすより、問いを明確にするほうが、判断に使えるフィードバックにつながります。
クライアントがコメントしたら、同じスレッドで返信します。修正依頼を受け止め、チームが何を直すか説明し、次に決めることを伝えます。コメント権限を持つゲストは返信とメンションができますが、スレッド全体を解決済みにしたり、再開したりはできません。スレッドの整理はチームで行います。
共有キャンバスでは、ゲストとチームのやり取りがキャンペーン資料のそばに残ります。次の修正に入る前に、その場で返答を確認します。
公開前の会議に備えて、プロジェクトの状況を読む
デモの後半では、制作物のレビューから、進行が遅れ始め、仕事の配分にも偏りがあるプロジェクトへと話が移ります。計画を変更する余地があるうちに確認できるよう、最終週を待たずにダッシュボードを見る習慣を付けます。
進捗、グラフに表示される残作業、担当者ごとの仕事の配分を確認します。そのうえで、気になる数字の元になっているキャンバスを開きます。デザイナーに複数の制作物が残っているなら、その内容について話す必要があります。見出しの修正3件と、新しいキャンペーン案3件では、必要な作業量がまったく違います。
ダッシュボードは、プロジェクトに記録された仕事を集計します。数日前から遅延を予測する機能ではありません。作業量のグラフは、担当者ごとの総数と残数を比較するもので、作業時間や各人の余力を測定しているわけではありません。その判断はチームで行います。
この動画では、話し合いに使う進捗と作業量の表示を確認できます。件数を読み取ったら、何が残っているかを担当者に聞きます。
進捗が実態を表すよう、完了として扱うセクションを設定します。プロジェクトの進捗は、完了扱いのセクションにある最上位のキャンバスを数えます。この進め方では、納品・公開済みを完了扱いにし、まだ納品が残る納品・公開待ちは未完了のままにします。セクションに納品・公開済みという名前を付けるだけでは、この設定は適用されません。
カンバンまたはリストに切り替え、該当するカードを開きます。日付や担当者を変える前に、制作物と最新のやり取りを確認します。ダッシュボードで調べるべき場所を見つけ、キャンバスで次の対応に必要なことを把握します。
何を変えるか決める前に、プロジェクトからキャンバスを開いて実際の制作物を確認します。
作業する人と相談して日程を変える
動画の再編集が必要になり、同じデザイナーが商品画像も担当しているとします。これは、デモ終盤の状況に当てはめて考えられる計画調整の例です。公開に不可欠な仕事はどれか、別のメンバーが引き取れる部分はどこか、最終納品の時間を圧迫せずに動かせるレビューはどれかを相談します。
プロジェクトのカレンダーで、日付の付いた仕事をまとめて確認します。日付を編集する権限があれば、キャンバスを合意した日にドラッグし、開いて新しい日付を確認します。キャンバスの詳細から日付を更新することもできます。
同じキャンペーンを、プロジェクトの各表示形式で確認できます。カレンダーでは、日付の付いた制作物を見比べてから、新しい引き渡し日を決めます。
計画の変更は、次のように明確に残します。
- 変更後の制作物と日付について、担当者と合意します。
- プロジェクトの日付と担当者を更新します。
- 影響を受けるキャンバスに、理由と次の対応を記します。
- 何が変わり、いつまでに回答が必要かをレビュアーに伝えます。
カレンダーの項目を動かすと、記録上の日程が変わります。それだけで制作時間が増えたり、クライアントの合意が得られたりするわけではありません。公開日が動かせないなら、残りの計画が収まるまで作業を減らすか、担当を振り分けます。後回しにした制作物には別のフォローアップ用キャンバスを作り、公開後に再開できる場所を残します。
納品・公開を終えてからカードを動かす
公開当日は、納品・公開待ちにあるキャンバスを確認します。1つずつ開き、承認済みの資料、納品先・公開先、対応する担当者を確かめます。翌日キャンペーンを確認する人が実際に出したものを見つけられるよう、最終ファイルや公開先のリンクをキャンバスに残します。
担当者が公開または納品を終えたら、カードを納品・公開済みへ移します。デモの最後にある、残りのカードが完了段階へ進む場面に当たります。
カードを納品・公開済みへ移す操作は、プロジェクト内の段階を記録します。広告を公開したり、クライアントにファイルを送ったり、ウェブサイトを公開したりする操作ではありません。該当するサービスで実際の作業を終えてから、ALLOに結果を記録します。
承認済みでも未送付の仕事は、納品・公開待ちに残します。そうすれば、最後の数枚も単なる締めくくりではなく、残作業を確認するために使えます。ほぼ納品済みのキャンペーンにも、残りを届ける人はまだ必要です。
動画では、カードを完了セクションに移しています。自分たちのキャンペーンでも納品後に移すようにすれば、チーム全員が同じ意味でこの段階を使えます。
次のキャンペーンが始めやすくなる形で残す
公開後は、元のキャンバスをキャンペーンの記録として残します。うまくいった方向性、想定より時間がかかったレビュー、次回変えたいことを、短い振り返りにまとめます。具体例が必要な学びは、該当する資料のそばに書きます。
再利用したいキャンバスのメニューを開き、別のプロジェクトにコピーを選びます。次のキャンペーンのプロジェクトを選択し、コピーの名前と内容を見直します。ブリーフ、日付、担当者、レビューの依頼文を、新しい仕事に合わせて更新します。次のチームを招待する前に、コピー先に置く内容とアクセス範囲が適切か確認します。
コピーは独立したキャンバスです。その後の編集や議論は元のキャンバスと同期されません。元のキャンバスには判断と履歴を残し、コピーは新しいキャンペーン用だとはっきり分かる状態にします。
次の出発点に残すべきなのは、実際に役立った問いと構成です。誤解を防いだブリーフの質問、方向性を明確にしたムードボードの説明、判断に使える回答を引き出したレビューの依頼文。それらを残しつつ、次のチームが別の表現を生み出せる余地を用意します。
うまくいかないとき
クライアントがキャンバスを開けても、コメントできない。 共有でリンクの権限を確認します。閲覧権限ではコメントできません。ゲストとの共同作業ガイドで、参加手順と権限を確認してください。
制作物がカレンダーから消えた。 日付が設定されているかを確認し、表示中の日付範囲とフィルターを確認します。もう1つコピーを作る前に、リストで探します。
終わった仕事が進捗に反映されない。 移動先のセクションが完了扱いに設定されているか、キャンバスがプロジェクトの最上位にあるかを確認します。変更後、進捗の集計が更新されるまで待ちます。
フィードバックが2つのバージョンに分かれた。 残りのレビューを続けるキャンバスを決め、レビュアーにそのリンクを送ります。もう一方には違いが分かる名前や説明を付け、新しいフィードバックの宛先を1つにします。
関連ガイド
- キャンバスを共有する
- ゲストと共同作業する
- コメントとメンションでフィードバックする
- プロジェクトの作成
- プロジェクト内にキャンバスを作成する
- キャンバスとセクションの整理
- プロジェクトへのキャンバスの追加
- プロジェクトビューの利用
- プロジェクトダッシュボードと進捗状況
- プロジェクトカレンダーを使用する
